将来への漠然とした『お金』の不安がある。
だけど何からどのように始めればいいのかわからない・・・
このようにお考えの方、いらっしゃいませんか?
自分が高齢になった時、年金や社会保障が今と同じように受けられるのだろうか・・・
『老後2000万円問題』や『AIに仕事が奪われる未来』、『度重なる増税と値上げ』などなど、
将来への不安は尽きませんよね。
そんな不安を解決するために、
将来のための
【投資初心者ロードマップ】
を作成しました。
ファイナンシャルプランナーである筆者が、投資についてわかりやすく解説します。
まずは投資について知ろう!
投資について興味があり、まずは税制優遇が手厚いiDeCoとNISAから投資を始めようと検討されている方、多いのではないでしょうか。
はじめは私もそうでした。
投資初心者がまず挑戦してみるのにiDeCoとNISAはとてもおすすめです。
しかし、まずは投資の全体像を把握しどのような投資先があるのかを知ることが重要です。
今回は
- 株式
- 債券
- 不動産投資信託
についてご紹介します。
株式
株式とは、
株を買うことで、配当金や株主優待を受けられるほか、株を買った時よりも株価が上がった時に売却すると利益を出すことができます。
投資信託と異なる点のひとつに、証券取引所で取引が可能な時間中でいつでも売買ができることがあります。
売買方法にも種類があり、おもに
指値注文 買いたい価格の上限や売りたい価格の下限を指定して注文する方法。
成行注文 銘柄や数量、売り買いの別を指定して売買価格を指定しない方法。とりあえず早く売りたい、買いたいときに用いる
があります。
売買には3つの原則
価格優先の原則買い注文だと値段が高い方、売り注文だと値段の安い方が優先されます。
時間優先の原則値段が同じなら早く注文した方が優先。
成行優先の原則値段も時間も同じなら指値注文よりも成行注文が優先される
がありますので覚えておくといいでしょう。
株式の売買が約定すると、約定日を含めて4営業日目に決済が行われます。
基本的には株は単元株(最低売買単位)で取引され、東京証券取引所の上場企業の場合は単元株は100株となっています。
株式投資は投資する金額が大きいイメージがありますが、小額から購入することもできます。
興味がある企業について調べて、小額から始めてみることでまずは取引を体験してみてはいかがでしょうか。
債券
債券とは、
国が発行する債券を国債、企業が発行する債券を社債というように発行者によって呼び方が変わりますが、内容は
株式は景気がいいと価格が上昇し景気が悪いと価格が下落しやすいですが、債券は景気が良くなり物価が上昇して金利が上昇すると価格が下落し、不景気で物価が下落し金利が下落すると価格が上昇しやすくなります。
つまり、
株式と債券の価格の変動は反比例の関係にあるので、分散投資をする際に相性のいい組み合わせになります。
債券には年間に1回または2回利子を受け取ることができる利付債があります。
利付債は(1年間の収益合計÷購入価格)×100で計算できます。
1年間の収益合計とは、1年分の利子+1年あたりの差益のことで
1年分の利子は額面金額×表面利率
1年あたりの差益は(売却価格-購入価格)÷所有期間
で計算できます。
購入するタイミングや売却するタイミングによって計算方法が異なりますが、利回りの計算はできるようになっておくといいでしょう。
債券には発行体や債券自体の信用評価が格付けとして民間機関によって評価されています。
一般的に格付けが
BBB以上の債権を投資適格債権といい、ローリスクローリターンの債権とみなされています。
BB以下の債権は投機的格付債権といいハイ・イールド債やジャンク債と呼ばれ、ハイリスクハイリターンの債権です。
購入を検討する債券が自身の取れるリスク許容度の範囲内かを調べておく必要がありますね。
不動産投資信託
不動産投資信託とは、
各国にREIT市場があり、日本のRIETのことはJ‐RIETと呼びます。
不動産は個人で購入するととても高額ですが、たくさんの投資家からお金を集めると1人当たりの投資額は少なくても大きな商業施設でも購入することができます。
投資家はRIETを通じて間接的に不動産のオーナーになれるということですね。
不動産投資信託という名前の通り、性質は債券や株式の投資信託と同じで1つの銘柄に様々な不動産が含まれており、分散投資が可能です。
また、小額から取引が可能でいつでも売買できます。
RIETのメリットとしては、
- 投資会社が運用して得た利益のほとんどが投資家に分配されるため比較的高い利回りが期待できる
- 物価の上昇に伴い不動産の価格や賃料も上昇することからインフレに強い
などがありますが、
天災や不動産市場の影響を大きく受ける
とデメリットもあることを理解しておきましょう。
金融商品のリスク
投資の全体像として株式と債券、不動産投資信託をご紹介しましたが、どれにも元本割れのリスクは必ず伴います。
自身が投資しようとするものの性質を理解し、リスクの分散を心がけて投資することが重要です。
投資初心者のための、知っておきたい投資のリスク6選
ここからは金融商品のリスクについて、もう少し具体的に解説します。
投資をする際にはどのような金融商品でもリスクについては必ず知っておかなければいけません。
まず、最初に知っていただきたいことが、リスク=悪いことではないということです。
投資においてのリスクとは、不確実性をあらわします。
つまり、リスクがあるとは不確実性があるということなんです。
株式を購入するとその後価格が上がるかもしれないし、下がるかもしれない。
リスクには常にプラスのリスクとマイナスのリスクがあり、プラスにもマイナスにも影響を及ぼすような要因を集めたものが、今回記事にしているリスク集になります。
これから紹介するリスクは以下の6つです。
- 価格変動リスク
- 流動性リスク
- 信用リスク
- 為替変動リスク
- カントリーリスク
- ポートフォリオ運用におけるリスク
価格変動リスク
購入した有価証券(株式や債券、不動産投資信託など)の価格が変動し、売却価格が変動することを価格変動リスクといいます。
価格変動の主な要因として、経済情勢や市場の金利動向、発行体の信用状況などが挙げられます。
債券投資での価格変動リスクは、市場金利の変動によるもので金利変動リスクともいいます。
一般的に、市場金利が上昇すると、上昇前の低い金利で購入した債券の価格は下落します。
逆に、市場金利が下落すると、下落前の高い金利で購入した債券の価格は上昇します。
流動性リスク
市場で金融商品を売りたいときに売ることができなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスクを流動性リスクといいます。
一般的に市場規模が小さく取引量が少ない金融商品で起こりやすいといわれています。
例えば、上場している会社が不祥事を起こし上場廃止になったら株主は取引ができなくなるので売り注文が殺到します。
そうすると株の値段が付きにくくなり、株主は株を売却できくなってしまいます。
信用リスク
有価証券の発行体の財務状況の悪化や経済情勢により、運用に損失が出るリスクを信用リスクといいます。
企業が倒産すると株式の分配金や償却金を返済する能力がなくなり、株主にお金が返ってこないというようなことが考えられます。
このように、企業が倒産して債務不履行になるリスクがあることからデフォルトリスクともいいます。
債券の格付け
債券には、民間の格付け機関によって、債券や債券の発行体の信用評価をランキングにしたものがあります。
発行体が同じでも、発行時期や利率など、条件が異なれば格付けも異なります。
BBB以上の債権ばかりを集めたファンドやBB以下の債権(ジャンク債)ばかりを集めたファンドもあり、自身のリスク許容度に応じて選べる債権も様々です。
為替変動リスク
為替レートが変動することで、海外の有価証券の円換算における価格が変動するリスクを為替変動リスクといいます。
外国の株式や債券などに投資をする際は、金融商品そのものの価格変動のほかにも外貨と円との為替レートにも注意することが必要になります。
一般的に、為替レートが円安になれば債券価格は上昇し、円高になれば下落します。
カントリーリスク
有価証券の発行体の国で政治情勢や経済情勢が変化し市場に混乱が生じて起こるリスクをカントリーリスクといいます。
ファンドの場合、予定していた運用ができなかったり基準価格が大幅に下落するといったことも考えられます。
また、取引自体に規制が設けられたり、税制が変わったりすることも金融商品の価格変動要因になります。
ポートフォリオ運用におけるリスク
分散投資でリスク軽減が期待できるポートフォリオ運用ですが、分散投資によって消すことができないリスクがあります。
日経平均株価など、市場全体が下落すれば、いくら分散投資しても値下がりが起こることをシステマティック・リスクといいます。
株式投資を始めてみよう!銘柄選びで参考にしたい指標の見方
投資の全体像はおわかりいただけましたか?
ここからは中でも特に投資対象として人気の株式について少し深堀していきましょう。
株式投資を考えるなかで、なにを参考に株を選べばいいのかがわかりませんよね。
ここでは株の銘柄選びの際に役立つ指標である
- PER
- PBR
- ROE
- 配当性向
について知ることができ、株式投資において一歩踏み込んだ銘柄選びをすることができます。
PER 株価収益率
PER(Price Earnings Ratio)とは、株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍かを示す指標で
株価÷1株あたりの純利益(EPS)で計算します。
例えば、同じ業種で1株1,000円の会社A社とB社があったとします。
A社の1株当たりの予想利益は100円でB社は200円なら、
A社のPERは1000÷100=10倍
B社のPERは1000÷200=5倍
となります。
同じ株価の2社ですが、1株あたりの企業が稼ぎ出す純利益はB社のほうが100円多いです(A社の2倍)。
つまり、収益が一定とするとB社のほうがA社よりも投資した金額(株価)を早く回収できると予想できます。
このことから、
- PERが低いと投資金額を回収できる期間が短いので、株価は割安
- PERが高いと投資金額を回収するのに長い期間がかかるので株価は割高
といった考え方ができます。
1株あたりの純利益(EPS)は、当期純利益÷発行済株式数で計算できますので、会社の損益計算書(PL)を見るとPERを計算することができます。
PERは業種によって水準が異なるので、同業種で同じような株価の会社を比べる際に利用してみましょう。
PBR 株価純資産倍率
PBR(Price Book-value Ratio)とは、株価が1株あたりの純資産(BPS)の何倍かを示す指標で
株価÷株価が1株あたりの純資産(BPS)で計算します。
1株あたりの純資産(BPS)は純資産÷発行済株式数で計算され、これは会社の解散価値といえます。
例えば株価が1,000円のA社のBPSが500円だったとします。このときA社のPBRは1000÷500=2倍となり、本来500円しか純資産がないのに1,000円で買われているということなのでA社の株価は割高となりますね。
PBRが1倍より低いと割安となります。
しかし、PBRが極端に低いと財務が悪いために株価が下がっていることも考えられるので注意が必要です。
株価と資産のどちらもが上下することでPBSの数値が変化するので、会社の貸借対照表(BS)をしっかり確認しておきましょう。
ROE 自己資本利益率
ROE(Return On Equity)とは、株主の投資額を使って、会社がどれだけ効率的に利益を得たかを判断する指標で
当期純利益÷自己資本×100で計算します。
一般的にROEが10%を上回ると経済効率が良いといわれています。
ちなみに、PBRはPER×ROEで計算できます。
つまり、PBRが低く割安と判断してしまうと実はROEが低く効率よく稼げていない会社だったということもあるので1つの指標だけで判断しないようにしましょう。
配当性向
配当性向とは、当期純利益のうち配当金が占める割合のことをいい、
配当額÷当期純利益×100で計算できます。
配当性向が高い企業は配当金が多いのでいい企業だと考えられますが、企業として成熟していることが多く安定しているものの成長性は低いことが多いです。
逆に、配当性向が低い会社は利益を設備投資に多く回していると考えられます。
このような会社は配当は少ないもののこれから大きく成長する企業とも考えられるので、株価自体が大きく上昇する可能性があります。
このように配当性向が高ければいいとか低ければ悪いというものではなく、数値から企業の状態を判断するための指標といえます。
配当性向は1株あたりの配当金÷1株あたり利益(EPS)×100とも計算できます。
例えば1株あたりの配当金が30円でEPSが60円だと30÷60×100で50%となります。
これとは別に1株あたりの配当金を株価で割って100をかけると配当利回りを計算できます。
株価が1,000円だと配当利回りは30÷1000×100で3%となります。
指標を活用する際の注意点
株式投資の指標は株価を分析する際にとても参考になりますが、
指標にとらわれて企業の実態を見逃してしまうと予想外の損失を被ることがあります。
指標とともに損益計算書や貸借対照表をじっくり確認し、企業のIR情報を調達するなど多角的に分析することを心がけましょう。
株式のポートフォリオについておすすめの評価方法
銘柄選びで参考にしたい指標の見方はおわかりいただけましたか。
買いたい銘柄がいくつか出てきた際に、気をつけなければならないポイントがあります。
異なる銘柄の株式を集めた組み合わせをポートフォリオといい、
このようなことから分散投資にはリスクを軽減するメリットがありますが、
異なる銘柄に投資する際の組み合わせや配分が運用に大きな影響を与えます。
そのため様々な指標を参考に自身の目的にあったポートフォリオを作成することが重要です。
ここからはポートフォリオを組む際に参考にしたい株式の評価方法である
- 相関係数
- 収益率
- 分散と標準偏差
について解説します。
相関係数
銘柄の値動きの関連性を表す指標を相関関係といいます。
同じ値動きの相関係数を+1異なる値動きの相関係数を-1とし、+1に近づくほど同じ値動きをするためリスクが大きく、-1に近づくほど異なる値動きをするためリスクが小さいと考えます。
例としてソニー(証券コード6758)と任天堂(証券コード7974)の相関係数を調べてみます。
本来、相関係数を計算するためにはとても複雑な計算式を用いますが、エクセルでCORREL関数を使うと簡単に計算できます。
2021年4月6日から2021年5月7日の相関係数を計算すると0.78344となります。
つまり、正の相関があり同じような値動きをしているためリスクが大きいと判断できます。
収益率
投資額に対して、利子や配当収入(インカムゲイン)や値上がり益(キャピタルゲイン)といった収益がどれぐらいになるかという割合を投資収益率といいます。
株式投資では、将来の投資収益が不確実なため投資によって期待できるリターンを予想して計算する必要があります。
予想収益率に、ある事象での収益率(生起確率)を組み込んで平均値をとったものが期待収益率といい、
投資をすることで予想される将来の収益率が計算できます。
例えば、A社の株を買うとして今後起こる景気の確立を
- 好景気40%
- 現状維持30%
- 不景気30%
としましょう。
景気による収益率を
- 好景気なら20%
- 現状維持10%
- 不景気-10%
とします。
このときA社の期待収益率は8%となります。
ポートフォリオにおける期待収益率は
ポートフォリオに組み込む各資産の期待収益率を組入比率で加重平均すると求められます。
この計算ができると、将来何となく儲かりそうといったあいまいな予想から精度を上げることができます。
分散と標準偏差
先ほど説明したポートフォリオの期待収益率のばらつきを測る尺度に分散と標準偏差があります。
分散や標準偏差が高いほどリスクが大きくボラティリティが大きいとも言います。
先ほどのA社の期待収益率は8%でした。分散を計算すると、
この結果は156となります。標準偏差は√分散で計算でき12.5%となります。
データが正規分布に従っている場合、
①データの約68%が「(平均)±(標準偏差)」内に収まる。
②データの約95%が「(平均)±(標準偏差の2倍)」に収まる。
という法則があり、
①8%+12.5%~8%-12.5%=20.5%~-4.5%の範囲に約68%の確率で収まり
②8%+2×12.5%~8%-2×12.5%=33%~-17%の範囲に約95%の確率で収まる
ことが予想されます。
ここで重要なのが、最悪-17%の損失が出る可能性があるということです。
標準偏差を求めることで、投資しようとする銘柄が最悪たたき出す損失を予想することができます。